
ドイツおよび日本における医学博士号を取得。白内障、屈折矯正手術分野では、国内のみならず国際的に高い評価を得ており、数々の取材や受賞を受けている。多数の国内外の講演に加え、学会理事長や国際眼科ジャーナルの編集長も務めている。
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角膜の構造
角膜上皮層
- 角膜の一番表面にあり、外界からのバリア機能を果たしています。再生能力の高い細胞によって構成されており、約1週間で新しい細胞と入れ替わります。
ボーマン膜
- 角膜上皮層のすぐ下に位置し、コラーゲン繊維でできた非常に薄い膜です。厚さは10μmほどで、再生能力はありません。
角膜実質層
- 角膜の約90%を占め、主にコラーゲンやタンパク質で構成されています。再生能力はほとんどないので、実質層の透明性が損なわれると、視力低下をきたす場合があります。
デスメ膜
- デスメ膜は薄くて強靭な膜です。実質層とともに角膜の形を維持します。基本的には再生能力があり、傷がついても修復します。
角膜内皮層
- 角膜を透明に維持するため、実質層に水分や酸素、栄養分等を供給するポンプの役目をしています。内皮細胞は再生能力がなく、一部の細胞が障害を受けると、隣接する細胞が膨張してカバーするため、一つひとつの細胞自体が大きくなり細胞数は減少していきます。
フラップ作製方法
一方向(水平)カットによるフラップ作製
(マイクロケラトーム)の場合
短時間でフラップ(ふた)の作製が可能で、刃物でフラップを作製します。
水平に一方向のみで角膜を切るので、均一な厚さの薄いフラップを作ることは難しく、切断面は辺縁が厚く、中心部はやや薄いフラップとなります。また、エッジ(フラップの端)の部分はなだらかな曲線になるため、術後にフラップがずれてしまう可能性があります。
二方向(水平+垂直)カットによるフラップ作製(フェムトセカンドレーザー)の場合
コンピュータ制御によって、フラップを均一な厚さで精密に作製することが可能で、ムラのない滑らかな切除面を形成します。
二方向からのカットが可能である為、エッジ(フラップの端)の部分はほぼ垂直に作られます。フラップのエッジが垂直に近いとマンホールの蓋(ふた)のようにピタリとはまるため固定力が高く、術後にフラップがずれる可能性も低くなります。
また、患者さまの目の状態に合わせて、個々の設定が可能で、より患者さまに合った手術が可能です。
使用する医療機器にもよりますが、一般的なフラップ作製の厚さは以下のとおりです。
フラップを薄く作製することが可能であれば、その分だけ矯正できる幅が広がります。