子供以外も?近視が進行する年齢
近視の多くは小学校入学以降に発生し、その後、体の成長とともに進行していきます。そして成人を過ぎた頃には止まると考えられてきました。
しかし最近、近視の発生や進行は子供に限らず、成人を過ぎても全世代にわたって起こることがわかりました。
近視が進行する原因
近視とは、遠方から目に入ってきた光が網膜より手前に焦点を結ぶ状態をいいます。
その原因として、角膜や水晶体の屈折力が強すぎること、眼軸長が長すぎることが挙げられます(子供の時、特に学童期には体の成長に伴い、眼球も大きくなっていきますので、近視が進行することがあります。
近視の進行が止まるのは何歳?
一般的には、近視の進行は22〜23歳頃には止まるといわれてきました。
しかし近年、この年齢を過ぎてからも近視が発生したり、進行したりする症例が見られるようになっています。実際に40歳を過ぎてから急激に近視が進行したという例も報告されていて、原因について研究が進められています。
以下、近視の発生や進行について年齢を追って見ていきましょう。
子供の近視進行
5歳まで
もともと、乳幼児期の子供の目は軽い遠視の状態にあります。その後眼球が成長に従い大きくなることで、小学校入学後あたりから徐々に近視が進行し、正視になるのが一般的です。
しかし、5歳までに発生する近視は先天近視と考えられています。先天近視は他の目の病気を伴うことが多いため、早期の発見が必要です。
自治体の乳幼児健診では、3歳児健診の時に視力検査が行われます。なお、3歳児検診での視力検査は、3歳6か月頃に行うのが効率的といわれます。もちろん、それ以前でも何かお子さんの様子に不自然な点を感じたら早めに検査を受けるようにしましょう。
6歳〜9歳
子供の裸眼視力は、一般的には6歳頃に1.0になります。その後、小学校に入るあたりから、勉強や読書などで近くを見る時間が増えていきます。また、体も成長し、眼球も大きくなっていきますので、近視の発生や進行が見られるようになります。
しかし一方で、小学校1年生あたりですでに近視用メガネが必要な場合は注意が必要です。成人になっても近視の進行が止まらず、病的近視に発展する場合があります。
10歳〜12歳
同じ近視の生徒の視力の推移を小学校の6年間にわたって毎年調べた、という研究があります。それによると、小学校4年〜5年で近視の進行が著しく、裸眼視力の低下も顕著になっています。
この研究では、小学1年〜3年の間の平均裸眼視力の変化はごくわずかであったのに対し4年〜6年の間では平均して0.7から0.3にまで低下しています。
13歳〜18歳
中学生、高校生になっても近視の進行は続きます。
同じ近視の生徒の視力を中学から高校の6年間継続して調べた研究では、裸眼視力は平均で0.4から0.2に低下しています。
このように、成人まで近視の進行は続きます。
大人の近視進行
次に、成人以降の近視の進行についてです。
一般的には、22〜23歳頃に近視の進行は止まります。しかし近年では、この年齢を過ぎてから近視になったり、あるいは近視の進行が止まらなかったりするケースが散見されるようになっていて、「成人近視」として世界的にも問題になっています。
20〜39歳
成人を過ぎてからの近視の発生については世界中で研究が行われ、20歳以上で発生する近視や、40歳を過ぎてから発生する近視の例まで報告されています。
主な原因は眼軸長の伸長です。パソコンやスマートフォンなどの普及により、近くを長時間見続けると、ピントを合わせる毛様体筋が過度に緊張し、目が疲れてしまうため、近くが楽に見えるように目が環境適応し、眼軸長が伸び、その結果、近視が進行していくといわれています。実際、近視が進んだ眼では眼軸が長くなっていたという報告が出ています。
40歳以降
40歳を過ぎますと、別の要因で近視になるケースが比較的多くみられます。それは眼の中の様々な病変です。
なかでも40歳頃から発生するのが「後部ぶどう腫」というもので、眼の奥の一部だけが突出し、こぶができたような形になるものです。50歳以上の病的近視の9割にはこの後部ぶどう腫が見られるとされています。この後部ぶどう腫は眼の奥の様々な病気の原因になっていますが、どのように発生するのか、まだ明確にはわかっていません。
近視は、高齢になるまで進行する
以上のように、子供だけでなく大人になっても近視はいつ発生したり進行したりするかは分からない、というのが近年の研究結果です。
60代になっても近視が進むという調査結果もあり、これにはVDT作業と呼ばれるパソコンなどの液晶画面を見続ける作業との関連や、遺伝との関連も指摘されていて、特に強度近視については原因と治療法の発見が世界中で急がれています。
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